明治36年(1903年)創業の正統江戸前寿司屋です。

  1. ホーム
  2. その他
  3. 「週に2日も休みやがって!」休みであって休みじゃない極上の鮮度を求めた「横浜市中央卸売市場」新規開拓レポ

「週に2日も休みやがって!」休みであって休みじゃない極上の鮮度を求めた「横浜市中央卸売市場」新規開拓レポ

「週休二日制」移行への紆余曲折

昨年の11月のことでしたか……記憶が定かではないですが、弊店(笹鮨)は「週休二日制」へと移行いたしました。

実は、初めは9月頃から週休二日制を試みていたのですが、これは大失敗に終わり、11月から現在の新制度へと再移行したという経緯があります。
当初は、これまでの「水曜日定休」に加え、続く「木曜日」も定休日に設定したのですが、これが大失敗の原因でした(嘆)。

弊店には日本全国からお客様にお越しいただいておりますが、その多くが出張を兼ねてのご来店です。
大体月曜日か火曜日に東京へ来られ、お仕事をこなして金曜日の午前中に地元へ戻られる、というパターンが王道でした。

そのため、水曜日定休はまだしも、木曜日まで休んでしまうと、出張絡みのお客様が全く来られなくなってしまったのです。
この状況に気づくまでに2ヶ月もかかってしまうとは、我ながら勘所の悪さというか、リサーチ不足というか……反省しきりです。
過去の営業成績を振り返ると、木曜日のご来店数が著しく低かったため「木曜日を定休日に」と考えたのですが、いやはや、商売とは本当に難しいものですね。

「月曜日・火曜日」が定休日に

そこで改めて、現行の「月曜日・火曜日定休」へと移行しました。
もともと月曜日と火曜日は夜のみの営業だったため、思い切って終日休業とし、仕込みや雑務に充てることにしたのです。

さらに言えば、月曜日は祝日になることが多いですよね。
これまでは祝日の月曜日だと、午前中は休業、午後は17:00に開店するものの、休日なので19:30にはラストオーダーを迎えていました。
たった2時間半のために店を開けるという、なんとも言えない状況だったのです。
「ならばいっそのこと、月曜日を定休日にすれば、祝日だろうと平日だろうと終日休業という分かりやすい形になる」と考えました。

しかしそうなると、これまで主に月曜日や火曜日にご来店いただいていたご常連様には、大変なご迷惑をおかけすることになり、本当に申し訳なく思っております。
すべてのお客様のご都合に合わせようとすると、それこそ年中無休で営業するしかなくなり、店主が過労で倒れてしまいます(苦笑)。
何卒、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

【週休二日で生まれた「心の余裕」】

これまでは週休一日だったため、休みの日にあれもこれもと一度に詰め込まねばならず、全く余裕がありませんでした。
正直、自分の休みは「週休0.5日」あるいは「0.3日」だと自嘲していたほどです。

それが週休二日になったことで、やはり心に余裕が生まれました。
やるべきことを1日で終わらせて翌日はのんびり過ごしたり、用事を2日間に分けてこなしたりと、時間に幅ができたため大分楽になりました。

最初のうちは週休二日制のペースに慣れず、休みの2日目には何をしていいか分からなくなり、とりあえず店に出てきて所在なさげに過ごしたり、結局雑務に追われていたりと、まるでワーカーホリックのようでした。
今ではそこそこ慣れてきましたので、そんなこともなくなりました。

常連さんからツッコミ「休みの日、何してんだ?」

さて、ここでようやく本題の「定休日に何をしているのか?」というお話に辿り着きます。
ある日、ご常連のお客様から、少々辛口なご意見をいただきました。

常連さん:「週に二日も休みやがって、何してんだ?どっか遊びに行ってんのか?いい歳して働かねぇでどーすんだ?」

店主:「いやですよぉ、ちゃんと仕事してますって(笑) 月曜日には必ず魚河岸行って一日仕込んでます。それから仕込みが終わったら包丁研いだり、店の掃除したり、事務仕事こなしたり・・・やることやってますって(笑)」

常連さん:「ほんとか?本当は一泊二日とかでどっか遊びに行ってんじゃねぇのか?一番脂がのっている時に働かないとだめじゃねぇか」

店主:「いやいやいや・・・遊びに行くお金は無いです。出不精なので観光地等も行く気は余りでないですし。本当は行きたいですけどね」

常連さん:「そうかぁ~?ふ・・・ん・・・まぁそんならいいけどよ、あんま休んでばっかだと腕が鈍るぞ?」

店主:「へぇ気を付けます」

……というような会話が、毎度毎度繰り返されております(苦笑)。

実際のところ、店主の休日は「休みであって、休みではない」のが本音です。
2日間のうち、1日は必ず仕込みで終わってしまいます。

ややもすると、月曜日に目指す食材が手に入らなければ、翌火曜日も魚河岸へ行って探し回ることもあり、空振りに終わすることだって多々あります。
また、店で使う器や厨房機器を探し求めて、合羽橋などの専門店街を回っているだけで丸一日が過ぎてしまうことも……。

そして大抵は、一日の終わりに包丁を研ぐのがルーティンとなっています。
包丁を研いでいる時間こそ、実は一番心が落ち着く瞬間なのかもしれません。

豊洲から横浜へ!「横浜市中央卸売市場」への新規開拓

そんな何かとタイトな休日ですが、先日、思い切った行動を起こしてみました。

普段は豊洲市場へ買い出しに行っているのですが、この度、初めて横浜市中央卸売市場(https://www.hamaoroshi.or.jp/?lang=ja )へ足を延ばしてみたのです。

横浜市場の最大の特徴は、「追っかけ」という独自の制度があることです。
通常の競りは朝の4:30などから行われますが、「追っかけ」はその日の朝に獲れたばかりの魚をそのまま市場に持ち込むため、それらを競る「第二回目の競り」が行われるのです。
今回は見学を申し込み、市場組合の方に案内していただきながら、各仲卸業者の方々と名刺交換やご挨拶を交わし、さらには実際の買い付けまで行うという、大変充実した朝を過ごしました。

その際も、「追っかけ」で競られたアオリイカが抜群の鮮度で仲卸に持ち込まれていたのですが、値段を聞いてびっくり!なんと豊洲市場の3分の2から2分の1ほどの手頃な値付けだったのです。
これは本当に凄い……。

その他にも、東京湾もの(地物)の魚が豊富に並んでおり、どれも目を見張るものばかりでした。
とある仲卸の社長曰く、
「豊洲には一級品が集まる。横浜はそうはいかないけれど、鮮度では絶対に負けない」
とのこと。
確かに、豊洲市場で競られる魚たちは、どんなに早くても前日の朝、あるいは夜に獲れた魚が輸送されてきます。
その点、横浜市場は漁場が近いこともあり、抜群に鮮度の良い魚が手に入りやすいという強みがあるのだと実感しました。

早朝4時起き、横浜市場へのハプニング

ちなみに……この日、店主は横浜の市場へ行くために早朝4:00に起床。
神田駅を4:50頃に出発する京浜東北線に乗り、横浜駅を目指していました。
横浜駅からはタクシーで市場まで向かう算段だったのです。

ところが、大ハプニングが発生!
乗っていた電車が、横浜駅のひとつ手前である「東神奈川駅」に到着したところ、なかなか発車しません。
間もなく車内放送で、
「ただいま桜木町駅で人が線路内に立ち入ったという情報が入りました。しばらくこのまま停車します……」
と流れるではないですか!

市場の案内担当の方との待ち合わせは6:00、このままでは絶対に間に合いません。
すると、同行していた妻が「ここからでも歩いて行けるみたい。運転再開を待つより、歩いた方が確実じゃない?」と提案してくれたので、「じゃあそうしようか」と、急遽東神奈川駅から徒歩で横浜市場を目指すことにしました。

「途中でタクシーでも拾えたらいいか」などとお気楽に考えていましたが、早朝の駅前にはタクシーの「タ」の字もありません。
ひたすら黙々と市場を目指して歩きました。
しかし、思ったよりも遠くはなく、ほどなくして無事に到着!
もちろん待ち合わせ時間にもしっかり間に合いました。本当に良かったです(苦笑)。

よくよく考えてみると、横浜駅で降りた場合、タクシー乗り場まで結構な距離を歩くのですよね。
横浜駅はある意味、東京駅や新宿駅よりも巨大な迷路のようで、慣れない土地ではなかなか目的地にたどり着けません。
それならば、手前の東神奈川駅から歩いて行く方が、ルートも単純で楽なのではと思い至りました。

次からは、最初から東神奈川駅から徒歩で向かうことになりそうです。
あるいは、事前に時間を指定して、東神奈川駅前にタクシーを迎車させておくのも手かもしれませんね。

ちなみに、市場からの帰りの時間帯にはきちんと路線バスが走っており、横浜駅まで楽に戻ることができました。
横浜駅からは横須賀・総武快速線を使えば、新日本橋駅まで乗り換えなしの一本。
これまた非常に楽に帰ることができました。
新日本橋駅から店(笹鮨)まではほんの5〜6分ですので、何の苦もありません。

なぜ横浜へ?目当ては幻の「ジンタ」

ところで、「なぜわざわざ横浜の市場まで行ったの?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。

その理由は、この時期にどうしても使いたい鮨ネタ「ジンタ(小鰺)」を探し求めてのことでした。
「豊洲市場で手に入らなければ、どこへ行っても無駄だろう……」と初めは諦めかけていたのですが、前述の通り、横浜市場には「追っかけ」という朝獲れ魚の第二回競りがあります。
「もしかしたら、追っかけでジンタが手に入るのでは!?」と一縷の望みをかけて足を運んだわけです。

……結果から言うと、今回は惨敗だったのですが(嘆)。

それでも、横浜市場の各仲卸の社長たちと顔見知りになれて非常に勉強になりましたし、実は店主がいつもお世話になっている豊洲の仲卸業者さんお友達だったりと、新たな繋がりもできてとても楽しい時間を過ごせました。
規模こそ豊洲市場には及びませんが、小規模だからこそ各仲卸の温かい雰囲気や職人としての心意気がダイレクトに感じられ、非常に気持ちの良い市場でした。
そう頻繁には行けませんが、月に一度は顔を出しに行きたいと考えている次第です。

笹鮨の定休日は「仕入れの新規開拓」

というわけで、表題の「定休日に何をしているか?」の答えは、「極上のネタを求めて、仕入れの新規開拓をしていた」でした。

もちろん、毎回新規開拓ばかりしているわけではなく、ほかにも諸々の雑務をこなしています。
その「その他の諸々」については、また後日こちらのブログで書き記したいと思います。

最後にもう一度しつこいようですが……決して遊んでいるわけではありませんよ、旦那、分かっていただけましたか?(笑)。

それでは、今回はこれにて……。