明治36年(1903年)創業の正統江戸前寿司屋です。

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神田の寿司屋へ「今から?イタリアから!?」祖父の味を求めた女子旅5名様をおもてなし

弊店には日本全国からお客様に来ていただいております。
遠く南は沖縄県、北は北海道はもちろん、秋田県や岩手県などからも足を運んでくださいます。

最近では都内といえども、電車を乗り継ぎ2時間近くかけて来てくださる方がおられたり、普段は奈良県でお仕事されている方が、研修先の茨城県からわざわざ神田までお越しくださったり……。
また「〆もの」がお好きで、愛知県から無理やり東京出張を作ってご来店くださった方など、本当にありがたく、店主として心より御礼申し上げる次第です。
地方から東京へ来られるたびに寄ってくださることが、どれほど励みになることでしょうか。

〆もの(光り物)に注力し、さらには日曜日も営業していることに「やっていてよかった」と思わずにはいられません。
今後もこの気持ちと姿勢を崩さずに精進してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。


今回、弊店に来ていただいているおある客様の話をさせて頂きますが、遠方のお客様は国内ばかりではありません。

遠く欧州、イタリアからのご来店でした。
某日、弊店の電話が鳴ります。

「はい、笹鮨でございます」
「予約をしたいのですが……今日か、明日か、明後日で……」
「あぁ、弊店は月曜日と火曜日が定休日ですので、いらっしゃるなら今日しか……」
(この日は日曜日でした)
「それなら今日でお願いします。五名です」
「はい、五名様ですね。テーブル席でよろしいですか?」
「あ、いや、できればカウンターが良いです」
(……五名様でカウンター……)
「はい、承知いたしました。五名様でカウンター席を承りました。お名前とご連絡先をお願いします」
「***です。連絡先は電話番号を伝えますか?」
「はい、そうですね(?何か違和感が??)」
「えと……イタリアの番号なのですが……」
「えっ? イタリア!? 今からイタリアからいらっしゃるのですか?」(間に合うわけないですね)
「いや、もう日本にいます」
「ああ、そうなのですね。承知いたしました。それでは電話番号等は結構ですので、ご来店を心よりお待ち申し上げます」

というようなやり取りがあり、なんだか不思議な感覚のままその時間を待ちます。
ここで一つ申し上げたいのは、本来、弊店のカウンター席はせいぜい2名様でのご利用が望ましいというか、お願いをしております。
ご常連様であればこの限りではありませんが、初見の方で3名様以上の場合は、必ずと言ってよいほどテーブル席をご案内します。

弊店のようなご常連様に支えられている小さな店ですと、カウンター席はご常連様(しかも大体がお一人でご来店になる)のために、ある程度空けておくのが店側の礼儀と心得ております。
しかしこの日は日曜日、しかも夜の部。
いらっしゃるご常連様も思い当たらず……となれば、五名様でのカウンター席もお受けすることにいたしました。

話を戻します。
いよいよご予約の時間が来て、何やら店の前でわちゃわちゃとざわめきが聞こえます。
引き戸を開けて入ってこられたのは……なんと! 若き外国人(イタリア人)の女性たちです! ご予約のお電話をくださった方が流暢な日本語でしたし、お名前も日本名だったので、てっきり日本人のグループが来られるものと思い込んでいました。

「いらっしゃいませ。***様ですか?」
「Oh! ***!! Yes!!」
(をわ〜! ***様ご本人はおられないのか〜??)
モデルさんのような若い外国人女性を前に、少々慌てる店主。
程なくしてご予約のご本人様が最後に入ってこられ、「***です」と名乗っていただき一安心(笑)。

よくよくお話を聞くと、ご予約のご本人様はイタリア人のお父様と日本人のお母様を持つハーフだそうで、それで日本語が流暢だったとのこと。
もちろんイタリア語も普通に話されています。
五名の女性たちは高校の同級生で、仲良しグループで日本旅行に来たとのことでした。

弊店のメニュー(お品書き)を説明し、まずは基本の一人前を召し上がっていただくことにして、握りをお出ししました。
その際「写真を撮っても良いか?」との質問があり、快諾します。
握るところや、器に鮨を並べていくところを、五名全員がスマートフォンで激写されていました。

お一人がグルテンフリーを希望されたので、握りの内容を少々変え、さらには“煎り酒”で召し上がっていただくことをご提案しました。
(煎り酒についてはコラム「醤油より旨い?江戸前の知恵・煎り酒がグルテンフリーだった話」をご参照ください)。
大変喜んでいただけたようです。

一通り食べ終わった後に追加をお伺いすると、「干瓢(かんぴょう)巻き」が大変美味しかったということでお二人がおかわりされ、また別のお二人は本鮪の赤身をおかわりされていました。

さらには「山葵(わさび)が美味しい」「卵焼きが美味しい」とも。
なんでも「普段イタリア本国では卵をあまり食べない友人が、美味しいと言っている」と通訳してくださいました。
イタリアにもオムレツ等の卵料理はあるだろうに、そんなに日本の卵(江戸前鮨の玉子)は美味しいのかしら?と、嬉しい疑問を感じました。

外国人だから魚や日本食の微妙な味は分からないだろう、と高を括っている飲食店があるようですが、とんでもないことです。
外国人だろうと、分かる人は分かるということです。
むしろ「日本人だから皆が美食家なのか?」というと、そんなことはありませんよね(苦笑)。

さて、ここからが表題の核心なのですが、イタリア人女性たちも食べ終わり、そろそろお帰りになる頃に伺ったのです。
「ところで、弊店のことはどこでお知りになったのですか?」
ハーフのお嬢様が答えます。
「実は、私の祖父がこちらのお店に何度かお邪魔しておりまして……」
「おぉ!! そうでしたか!! それはそれはありがとうございます」

お名前を伺っても、すぐにお顔が思い出されません。
「もしかすると、私の父の代にお越しいただいていたのかもしれませんね。神田笹鮨は世代交代をしていたと、おじい様にお伝えください」

弊店のお客様が、遠く離れたイタリアにいるお孫さんへご紹介くださったことに大変感激し、また感動いたしました。
ちなみにそのおじい様は関西圏にお住まいの方だそうで、しょっちゅう神田に来られるわけではないようでした。
ますますありがたく存じます。

こうなると神田笹鮨もグローバルですね(笑)
最近、弊店にご来店くださる外国人の「イタリア人率」が大変高くなっております。
理由は不明ですが、イタリア人の方が訪れることが多いのです。
からと言って、弊店に来ればいつもイタリアの可愛らしいお嬢様方に会えるわけではありませんので、悪しからず。

日本国内のみならず、海外にも弊店の名前を知っていただけたことに感謝感激です。
以前のコラムにも書きましたが、ニュージーランドのご常連夫婦もそうです。
外国の方にもファンになっていただけると、ますます「兜の緒を締める」覚悟で、今後も粛々と仕事に邁進すべきと心に命じる次第です。
もちろん、国内の笹鮨ファンの方々にも心より感謝しております。
伏して御礼申し上げます。

今後とも「神田笹鮨」をご愛顧くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。