数ある〆ものの中でもその存在感の大きさは群を抜き、味わいも別格なのが「車海老の甘酢〆」です。
普段ご用意している“甘酢海老”は正直申し上げて、輸入の冷凍エビを甘酢にて〆てあります。
それを敢えて車海老でやるという、ある意味乱暴なように思えますが歴史的にはそうでもないのです。
弊店の三代目皛次が若い頃、即ち昭和時代の戦前ですね、その頃は輸入の冷凍エビは無いわけでして、車海老を〆て使っていたそうです。
勿論通常の塩茹でのものもあったそうですが、〆ものとしても車海老を使うほかないとのことでした。
ところが、高度経済成長期に輸入の冷凍エビが流行ったのです。
魚河岸の仲買からも「使ってみたら?」と勧められたので新しもの好きな江戸っ子としては試したくなるのですね(笑)
早速仕入れて車海老同様に茹でてみたところ・・・。「なんだよ、味も素っ気も無ぇな?」という結果になり「こんなんだったら味を付けちまえ、甘酢でやるやり方があるだろ」ということで輸入の冷凍エビは甘酢〆で提供することになりました。
それ以来車海老は塩茹で、輸入の冷凍エビは甘酢〆とすみ分けができたのですが、そもそもその昔は車海老で甘酢〆をしていのですから、それを全くやらなくなるのはもったいないってもんでして・・・。
そういった歴史的経緯を聞いた現店主は「車海老の甘酢〆」を復活させました。
試してみたらこれが美味いのなんの!!
美味しすぎて輸入の冷凍海老の甘酢〆が売れなくなってしまいそうになったので、この「車海老甘酢〆」の握りは新年1月の月間限定ネタとして(記事の公開時は、1月末ではございますが)ご提供するようになりました。
この機会をお見逃しなく!!