明治36年(1903年)創業の正統江戸前寿司屋です。

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アナゴ(穴子)とウナギ(鰻)の旬

アナゴ(穴子)とウナギ(鰻)の旬

皆様は「アナゴ(穴子)の旬」をご存じですか?
鮨屋におけるアナゴの扱いは通年で今一つ季節(旬)が分かりづらいネタの一つです。
アナゴの旬は産地や種類によって異なりますが、一般的には夏から初秋(6月~8月頃)が最も美味しい時期とされています。

これは、産卵前に栄養を蓄えて身がふっくらと脂がのるためです。
脂といってもウナギのように濃厚でしつこいものではなく、あっさりとした口当たりが特徴で、夏の暑い時期でも食べやすいのが魅力です。

また、冬場のアナゴは脂が落ち、さっぱりとした味わいになります。
そのため、地域や料理人によっては「夏は脂の旨みを楽しみ、冬は上品で淡泊な味を楽しむ」と、季節ごとの味わいを大切にする考え方もありますが江戸前鮨の世界では、夏のアナゴを“旬の江戸前”として扱うことが多く、煮アナゴや握りに仕立てて提供されます。

さらに産地による違いも見逃せません。
瀬戸内海や東京湾はアナゴの名産地として知られ、特に江戸前の煮アナゴは柔らかく煮含められた身と、ほんのり甘い煮ツメの相性が格別です。

しかしながら、現今日では江戸前アナゴの漁獲量はとても少なく、魚河岸でも流通はしていますが大変高値となっていて弊店で扱うことはかなり難しい状態です。

例えばご常連様から「どうしても!江戸前アナゴが食べたい!!お願い!!」と言われたら仕入れて仕込むことは不可能ではありませんが、その時のお値段にはそれなりの覚悟を持って頂かないと難しいでしょう(苦笑)。

アナゴの旬は夏が中心ですが、一年を通して食べられ、季節ごとに異なる魅力を持つ魚といえます。
料理法や産地との組み合わせによって、多彩な表情を見せる点が、アナゴの奥深い魅力といえるでしょう。

弊店ではアナゴの旬の期間に【特製穴子重】をご提供しております。
うな重のように江戸塗の漆重箱にアナゴを一面に盛り付けそれだけを食していただきます。

アナゴ好きな方にはもちろん、弊店の寿司飯の味とアナゴのツメ(甘いたれ)のハーモニーを存分に味わっていただきたく存じます。

ご提供の期間は不定期です。アナゴを仕込んでいるうちに「あ、脂乗ってきたな・・・」と感じる事が多くなってきたら【特製穴子重】の取り扱いを始めます。

詳細は当HP“新着情報”及び各種SNSでお報せいたします。
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さて、江戸前鮨屋の世界ではアナゴが中々の立場におりますが、ウナギはどうでしょう。

関西のお寿司屋さんにはネタとしてウナギが当然のようにあるそうです。
関西はミックス文化と申しますか、一つの場所であれこれ済ますのが合理的との考え方が主流の様です。一方関東では“専門店”が主流なのでウナギはうなぎ屋で食べるものであり、鮨屋にウナギの用意はありません。

余談ではありますが関東では寿司・蕎麦・うなぎ・てんぷら等々それぞれの専門店があり、各種各店で特色を出して商いしておりますが、関西だとこれがひとまとめになっていることが多い様に見受けられます。
文化・習慣の違いがあってとても面白いと感じます。

では余談次いでではありますがウナギの旬はいつか?という事にも言及しておきましょう。
本来ならば鮨屋のコラムで書くようなことでは無いとは思いますが・・・。

一般に「夏の土用丑の日にうなぎを食べる=うなぎの旬は夏」と思っている方が多いと思われますが、実はウナギ(ニホンウナギ)の旬(本来の天然ウナギの旬)は 秋から冬(10月~12月頃) です。

その理由は、ウナギが産卵に向けて栄養を蓄えるのが秋口で、この時期は脂がのり、身も厚く柔らかくなって最も美味しいとされるからです。

冬眠前のウナギは余分な脂を蓄え、旨味も濃くなるため、昔から「寒ウナギ」と呼ばれ、珍重されてきました。
一方で、現代の食文化では「夏の土用の丑の日」がウナギのイメージを強くしています。

これは江戸時代、蘭学者・平賀源内が知人のウナギ屋に頼まれて宣伝したことが広まったといわれています。
夏は食欲が落ちやすく、栄養価の高いウナギを食べて精をつける、という習慣が定着したのです。

したがって、実際の旬と食べられる時期のイメージにはずれがあります。
さらに現在流通しているウナギの多くは養殖で、年間を通じて脂の乗り具合が調整されているため、「旬」を意識せず美味しく食べられる点も現代的な特徴です。

天然ウナギの旬は秋から冬。
しかし文化的には「夏の精のつく食べ物」として親しまれている、という二面性を持っているのがウナギです。

ということで鮨ネタ小話でした。
念のため申し上げますが神田笹鮨ではウナギは扱いません、悪しからず。