弊店では10月の一か月間期間限定ネタとして「松茸の握り」をご提供します。
魚河岸で永年の付き合いである八百屋さんから厳選した松茸を仕入れ、掃除(下処理)して一定の厚みで切り分け秘伝の漬け汁に漬け込みます。
注文が入ると漬け込まれた松茸を炙って香りを出し、それを握りにして提供します。
残念ながら国産の上質な松茸は、目が飛び出て神田川へ落っこちてしまうほど高値なので、輸入モノに頼らざるを得ません。
それでも輸入モノといっても上質な松茸は遜色なく、大変良いものが手に入ります。
いつから弊店が、この松茸の握りをご提供してできたか定かではありませんが、少なくとも先々代から扱っていました。
先々代は結構アイディアマンで行動力があったように思えます。
この松茸の握り以外にも「三つ葉巻き」等はやはり日本中の鮨屋のなかでも食べられるのは弊店だけと自負しております。
この三つ葉巻きに関して魚河岸の出入りの八百屋のご主人に聞いたところご主人が若かりし頃(即ち魚河岸の八百屋へ入った頃)から既に扱っていたとのこと、三代目皛次は不易流行の気質が強かったのかもしれません。
松茸の握りもどこからか聞きかじった話を実行に移したと思われます。
ところで「松茸の握りは江戸前鮨なのか?」と揶揄する方もいる事でしょう。
しかしながらそこが「不易流行」たる証拠でしょう。
ネタとして江戸前ではないかもしれませんが、新たなネタの導入に対して過去から伝わる技法(所謂“ヅケ”の技法)をもってしての握り鮨。
もちろんネタとして「キワモノ」と言われ王道でもなければ正統でもないかもしれません、しかし店主としての遊び心が作り出した唯一無二のネタではないでしょうか。
神田笹鮨は「不易流行」と「温故知新」を肝に銘じ、これからも新たなネタの導入を図り、お客様に安定・安心、そして発見の味を提供してゆく所存でございます。